編成車でした. 昭和37年4月、551系最後の新造車561Fが登場しましたが、この頃旧国鉄標準部品が枯渇 し、ようやく重い腰を上げて次はカルダン車を採用しなければならない環境になってしまった のです。そうして誕生するのが初の新性能車601系なのですが、新造準備に半年以上掛かり その登場は、昭和37年12月年末の事でした。当時の西武沿線の人口は団地造成など盛ん で急激に増えつつありました。半年間も車両増備を怠る訳には参りません。 そこで目を付けたのが、当時西武一”大出力”(MT30 128Kw)と言われた主電動機を装備 した501系でした。501系4連(Mc+T+T+Mc)の中間に電装品の不要なサハを挿入し、安直 な車両増備を考えたのです。そうして生まれたのが、551系のサハ1562の続番1563~1572の 10両でした。この新造サハは殆ど床下機器は無く、唯一中古の1.5KwMGを各車搭載しただけ でCPも在りませんでした。そうして出来上がったのが、Mc+T+T+T+T+Mcの2M4T501 系でした。サハは10両新造ですから2両づつ組み込んで、この編成が5本出来上がりました。 当時標準のMT15の3M3Tの場合、(100Kw×4×3)/6=200Kw/1両 2M4Tの場合MT30ですから(128Kw×4×2)/6=170Kw/1両(車体重量は同じと仮定) で3M3Tの85%出力となりますが、何とか温度上昇試験等パスしたのでしょう。実際に走りだ しました。が走りは計算どおりいかないもの、加速は悪く走りはギクシャクまるでP・P運転の 列車のような走行状態で、さすがに当時のスジでも乗せるのは苦労していた様子でした。 ただこの編成だけが当時弱め界磁を使用し、高速域で速度挽回を図ろうとしましたが、駅間距離 が短い区間では、弱め界磁段に入る前にもう場内信号で減速するような状況でした。 もう一つ扱いに手間だったのは、モーター負荷を平均化するために、定期的に2両のサハを 501系の中でたらい回しに組み替えていたことです。 写真はモハ527+サハ1527+サハ1567+サハ1568+サハ1528+モハ528の2M4T編成 高麗駅ハイキング急行の昼間待機 S37年 (各写真はクリックで原寸になります) こちらは、各停運用に付く527F 池袋行き 秋津~所沢 昭和42年
しかし、さすがに上記のような状態で恒久的に使う訳にもいかず、後に半数を電装してモハ571形 として同型の551系に組み込まれ、昭和42年に2M4T編成は解消しました。 しかし、551組み込みの際最後の579+1579のモハの電装品が間に合わず、両側クモハ559と 560をMT30に置き換え再び2M4Tが出現してしまいました。579が電装されたのが昭和44年です から、西武には都合7年間も2M4Tが居たこととなります。 電装化後551系に組み込まれたモハ575 小手指区 昭和44年
(ブログ内掲載の写真・記事等の転載はお断りします。)
by tetudankai5501
| 2012-01-30 21:26
| 西武鉄道
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Comments(6)
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tunosuke at 2012-01-31 23:09
団塊鉄ちゃん様、こんばんわ。
クモハ559・560がTR-22を履いていた理由がやっとわかりました。3M3T化されたあとは100kwに戻っていましたね。 クモハ351型にも一部TR-22を履いていた車輌があった記憶がありますが、あれは何だったのでしょうか。
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vasutfan
at 2012-02-01 01:53
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いつもお邪魔しすみません、また弊方コメントに対し、ご丁寧にレスを頂き恐縮です。
2M4T、乗車経験はありませんが、想像するに、編成のちょうど真ん中に乗車しようものなら客車のような感覚だったのではないでしょうか?(軸距の長い台車も手伝い) ところで床下スカスカのサハで思い出しましたが、これの約20年後に、今度は床下スカスカのモハが、3000系に組み込まれ登場します。 こんどは打って変わって6M2Tという強力編成、でも今巷間で聞かれるエコの観点からいえば、前出2M4Tのほうが時代を先行していたのかもしれません、結果論ですが。 末尾ですが、時差もありいつも変な時間にコメントしすみません、因みに時差は、冬時間で-8時間、夏時間では-7時間になります。
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団塊鉄ちゃんi
at 2012-02-01 12:22
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つのすけ様 何時も有難う御座います。
有りましたね、TR22(DT11)を履いた351形。想像ですが、501系のエアサス化 で余剰となった奴を履いたのではないでしょうか?。 あの頃の西武は台車のたらい回しが得意でしたから。401・402から外した台車 (エアサスのDT13)を501系に履かせ、そこから捻出した物と思います。
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団塊鉄ちゃん
at 2012-02-01 12:23
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vasutfan様 何時も有難う御座います。
仰るように、2M4Tの乗車感覚はまるで客車列車そのものでした。 急行運転ではまだ良かったのですが、各停にも普通に使われて いたので、ノッチオフ即制動で余裕が無く、運転士さんも大変苦労されていたと 思います。 3000系もM車比が高いですが、101系の4M2Tが出現した時は、西武も変わった なあと感心しました。M・M’方式なのでその様な編成なのですが、加速の良いこと に驚きました。フルノッチだと直ぐ85Kmに達し、高性能を持て余していました。 当時は赤電車は制動性能の関係から、85Km/hに抑えられていましたが、 普通列車のスジは赤電合わせでしたから、101系は1段下の3ノッチで流していた 運転手も多かったです。 HSC-Dの5000系と101系は105Km/hまで許容されていたようです。 赤電が本線から一掃された後に、飛躍的にスピードアップが図られましたね。 そちらは冬の寒さは厳しいと思いますが、今冬の日本も寒波が居座り 連日日本海側の記録的大雪のニュースが伝えられています。今年こそ 穏やかな一年であって欲しいのですが・・・。
こんばんは。
大変興味深く拝見させて頂きました。 2M4Tとは驚きました。 JRになり209系が走り始めたときに、通勤電車で4M6Tとは随分性能が良くなっているのだろうと感心したことを覚えていますが、M車比率だけで言えばそれを上回る編成が遥か以前にあったのですね。 今の新しい車両は、緻密に計算されたコンピュータのようなものなのだろうと思いますが、この時代の車両はきっと、熟練の職人さんが上手に使いこなすアナログな機会だったのだろうと想像しています。 さすがに運転にも苦労されたのでしょうが、出力の不足を補うように、運転技術でうまくカバーされていたのだろうと思いますし、それができるような遊びのあるきかいだったのでしょう。古い機材を使い、車体だけ新製した車両には惹かれるものがあります。 今となっては、このような列車が走っていたことが想像もつきません。 風旅記: https://kazetabiki.blog.fc2.com
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tetudankai5501 at 2020-06-17 13:42
> 風旅記 様
ご覧頂きありがとうございます。 当時の西武の新車増備は自社所沢工場で車体の新造のみを 行い、足回りや制御装置は戦前の国鉄標準部品をかき集めて 取り付けるセミ新車が全てでした。しかし毎年多くの新車に履か せる中古の台車やモーターも枯渇して、この時期不随車ばかり の製造となったものです。 新造サハは10両もありまして、15編成有った501系の中間に2両 づつ挟み都合5編成の2M4Tの編成を501系の中でたらい回しに して走らせました。走行状態は電車の加速感は全くなく、電機牽 引の客レそのものでした。 後年流石に扱いずらいことから、電動車化が実施されました。
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