秩父線の開通は、それまでの赤電達や舶来電関がのんびり走る西武電車のイメージを一変させました。 昭和44年は西武にとって画期的な年でした。新車も101、外注5001・E851が揃って登場した訳ですから、 もう驚きの連続でした。 吾野・西武秩父間19.0Kmと決して長い延長路線では有りませんが、奥武蔵の険しい山並を当時私鉄 最長の正丸トンネルで抜けて秩父盆地に至り、東京と秩父を結ぶ最短ルートとした意義は大きいものが 有りました。キャッチフレーズは、「池袋~秩父最短83分:特急ちちぶ」です。 西武秩父線の建設目的の主題は、武甲山の豊富な石灰資源でした。横瀬にに三菱セメント(当時)が 進出し、この工場からのセメント製品輸送でした。 当時秩父へ抜けるR299はその輸送には到底無理な状況でした。西武はセメント輸送の為、正丸トンネル 前後の25‰勾配に対応して、私鉄最大のF級電機重連で対応させました。 従ってどちらかと言うと、貨物輸送主で観光目的は従であったのですが、この際長瀞・三峰・秩父周辺 の観光開発も併せてアピールする趣旨から、西武初の特急「レッドアロー」の登場となりました。 特急は当初平日はたった2往復の純然たる観光特急でした。 その後、後年次第に通勤ライナー的性格をおび、夜の下り飯能行きが増発され定着するに至りました。 一方普通列車は、池袋・西武秩父直通の急行・準急用として、新設計の101系が用意されました。 特急5000系と足回りは共通設計でしたが、西武としては画期的な新造車となりました。 抑速付きHSC-D制動・150Kw主電動機×8基/4両・新設計のダイレクトマウント式台車FS372、072と 従来の赤電性能を大きく陵駕するもので初物づくしでした。 当初は、西武秩父行き列車は、PRも兼ねて殆どが池袋・秩父直通でしたが、昭和58年12月の改正 以降は、飯能で運転系統が分断され、特急と土休日の快速急行のみが直通運転となりました。 その後秩父線用の4000系の登場や、秩父鉄道への乗入れが開始されたのが平成元年だったと思います。 (各写真はクリックで原寸になります) 平日は池袋・西武秩父間 2往復の設定でした。開通から2ヶ月間は予備車なしの2編成体制でした。 写真は第三編成(日立製)5505F 武蔵横手~東吾野 昭和44年12月 開通後最初の秩父夜祭臨時特急 第三編成完成で初の8連が組めるようになりました。 写真は5501F+5503F臨時特急秩父行き 東吾野~吾野 昭和44年12月3日 同じく臨時特急 5503F+5501F 元加治~飯能 昭和44年12月3日 第三編成5505F 池袋行ちちぶ2号 秋津~所沢 昭和44年12月 第三編成5505F 西武秩父行ちちぶ3号 秋津~所沢 昭和44年12月 同上列車 上り運用まで待機の第一編成5501F 西武秩父駅 昭和44年10月 秩父線は新設山岳路線ですので思いのほか撮影ポイント確保が難しく、当時プアなカメラでしたから 所詮望遠など使うすべも無く、専ら線路に近寄れる吾野線で写しておりましたが、赤電一辺倒だった ローカル線が昭和44年10月14日を境に、一躍特急やF級電機、新造の101系等が頻繁にやって来る 幹線?に昇格したのですから、もう興奮の連続で懸命に写真を写していた事を思い出します。 しかし、個人的にはこの年を境に、結果的に黄色い電車が大量増備されてゆき、往年の西武らしさが薄 まってしまって残念に思ったのも事実でした。 101系(111F)準急池袋行き 当時は大半が池袋直通運転でした。 武蔵横手~東吾野 昭和44年12月 同じく101系(115F) 西武秩父行き 昭和44年12月 101系以外にも赤電達も上がって来ました。 写真は779F 西武秩父行き 武蔵横手~東吾野 昭和44年12月 こちらは785F 西武秩父行き 同上区間 昭和44年12月 吊り掛け車も来ます。525F 西武秩父行き 同上区間 昭和44年12月 E851も頻繁にやってきました。 E853 同上区間 昭和44年12月 E851形の牽く東横瀬行きタンカー列車。 武蔵横手~東吾野 昭和44年12月 同上列車。セメント製造燃料用の各種タンカー(タキ1500・4500・9800)などとスム201、テキ401等の 混成列車でした。 武蔵横手~東吾野 昭和44年12月 西武秩父線開通以前の吾野止まりの頃の区間列車。 311系が2連でのんびり往復しておりました。318F 高麗駅 昭和37年 (ブログ内掲載の写真・記事等の転載はお断りします。)
by tetudankai5501
| 2012-02-23 01:20
| 西武鉄道
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Comments(10)
私が西武沿線に引っ越した年に秩父線が開通したので、レッドアローや黄色い電車は当たり前の存在でした。団塊鉄ちゃん様には西武鉄道が生まれ変わったような強烈な印象に感じられたのでしょうね。
吾野から先の秩父線は橋とトンネルで抜けていく新線らしい雰囲気で、足場が確保できず、確かに撮影には苦労しました。101系、5000系、E851型といった近代的車輌には秩父線の近代的設備が似合っていたような気がいたします。 正丸トンネル付近は自然条件も厳しいようです。かつて鉄道に関連する会社で働いていたとき、秩父線の現場で働く人たちは特に冬はきつかったと聞いていました。
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団塊鉄ちゃん
at 2012-02-24 01:17
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つのすけ様 今晩は。 何時も有難う御座います
仰るように、西武秩父線の開通は西武の大きな転換期であり、やっと他の 大手私鉄と肩を並べる水準になったと思います。 当初、101系は秩父直通列車の本数分が充足したら、製造打ち止めかと思って いましたが、一般地平線にも特に運用分けすること無く、大量増備しました。 当時のスジでは明らかにオーバースペックでしたし、新宿線にも配置されるやら 4M2Tが登場するやらで、抑速制動など宝の持ち腐れ、何時も高性能を持て余し ていましたね。特に飯能で秩父行きが分断された以降は、殆ど地平線運用にな ってしまいました。初期の101系等はその性能を充分発揮しない内に廃車に成って しまったものも有りました。 本来の性能を活かせたのは、新旧レッドアローと4000系なのだと思います。
本題と違うところなんですが、779Fのクハの台車がFS072なんですね。
もう、この頃からFS072のクハ1701形がいたとは知りませんでした。 私は翌年に幼稚園に入りましたが、画用紙に書くクハの台車はいつもTR11でしたから(笑)。
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団塊鉄ちゃん
at 2012-02-25 05:17
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ひろみや様 ご覧頂き有難う御座います。
701系のクハのTR-11AからFS072の置き換えは、101系登場の翌年昭和44年 から始まり、同53年までに96両全数が交換されました。701系の登場が昭和38年 ですから、6年後に交換が始まり、全数置き換えは9年間を要した事になります。 尚、台車交換と同時にMGを交流式に置き換え、室内灯を20Wから40W(露出式) に交換しています。
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清68
at 2012-02-25 16:30
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こんにちは。
黄色い電車が珍しく、何時間も待っていたのを思い出します。 隣家に電車好きの友達がいて、今日は黄色い電車を見たんだからな!とか威張りあったリしてました。 昭和47年、黄色い電車には分散冷房車が登場しました。 その年の秋の小学校の遠足で狭山湖に行ったのですが、その時その冷房車に乗車しました。 西所沢まで冷房車8連、狭山線でこれまた冷房車での4連往復、と、新車バリバリの贅沢な行路でした。 西所沢で乗り換えた分散冷房車4連の車内から、小手指方面へ走り去ってゆく分散冷房車8連の姿をはっきり覚えています。 帰りの池袋線も冷房車ならパーフェクトでしたが、これは501+701の8連でした。帰路、西所沢のホームで待っているところに入線してきた池袋行きの501の顔を見た瞬間、「完璧ならず」とひどく落胆したのを覚えています。 今思えば何とも罰当たりな考えですね。
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団塊鉄ちゃん
at 2012-02-25 18:57
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清68様 何時もコメントを頂き恐縮です。
分散冷房車は確か171から182Fまでの6本だったですね。最初は池袋線 に配置、後に新宿線に転属しましたね。扇風機併用の天井は風洞が目立ち ました。それから独特の甲高いMG音ですぐ判りましたね。 4本が4000系のタネ車に、2本が量産車と同様に改造され、早々と見られなく なってしまったのは残念でした。 新宿線では、朝の急行で101系の4M2Tの先頭側に新所沢でこの分散冷房車 が増結され、堂々10連オール冷房急行が仕立てられていました。
101系の10両通勤急行は拝島・多摩湖線にもありました。
萩山発朝7時台に2本連続で入っていました。 ところで、私が中学生だった頃ですので昭和50年だと思いますが、101系の非冷房車が新宿線に入っていたような気がするのです。教室から見た記憶があるのですが、団塊鉄ちゃん様ならご存知かと思い伺います。いかがだったでしょうか。
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団塊鉄ちゃん
at 2012-02-26 00:40
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つのすけ様 今晩は。何時も有難うございます。
昭和50年頃といえば、701系の冷改が始まった年で新宿線には701F・705Fの 601系を組み込んだ6連が赤電冷改車で登場しましたね。101系は6連組と試作 冷房車の4連組が冷房車でした。しかし確かに新宿線で101系の非冷房車も見 た記憶が有ります。恐らく4連組の検査入場等で臨時に応援に入ったものと思 われます。
こんばんは。
恥ずかしながら最近まで、飯能から先が西武秩父線だと誤解していました。吾野が終点だった頃には、最後のお写真のような古い車両がのんびりと走っていた、まさにローカル線、盲腸線のような路線だったのだろうと想像しています。 その先が開業してからは、特急列車も普通列車も新車が投入され、貨物列車も走るようになり、一気に華やかになったのではないでしょうか。 飯能近辺まではベッドタウンの様子になり、だいぶ風景も変わったのではないかと思います。 正丸峠の険しい山の中を走っていく列車、乗るだけでなく、沿線から撮ってみたくなりました。 風旅記: https://kazetabiki.blog.fc2.com
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tetudankai5501 at 2019-10-01 22:39
> 風旅記 様
古い記事ご覧いただき有難うございます。西武池袋線の飯能~吾野間は当初吾野の 採石場からの砕石バラストを運ぶ貨物輸送を主目的として建設された山間のローカル 線だった訳ですが、戦後昭和40年代になってから、秩父横瀬地区に三菱セメントが セメント工場を建設し、その製品輸送を主目的に吾野以遠に秩父線が建設されました。 秩父線計画当初は観光目的の特急列車等は採算面から疑問視されていたようで、 秩父線も貨物主体の計画であったようです。 仰るように吾野止まりの頃は砕石貨物列車がのんびり走る閑散ローカル線で旅客電車 は日中2両編成の旧型車が飯能と吾野を往復していました。
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